どんな言葉で君を愛せば|@oyasumitte

ハッピー賢者モードと人生イヤイヤ期を行ったり来たり

もう一度aftersunを初めて観たい

“ ソフィ 愛してるよ 忘れないで パパより” 大好きな映画 aftersun(2022)の、Prime Videoでの見放題期間が明日終わってしまう。 身近なところでも入籍ラッシュだった令和七年の七夕はもう過ぎてしまったけれど、もし短冊に願いごとを書く機会があったなら、…

微熱

珍しく駅で待ち合わせた日に限って寒い。多少遅れても一度ホテルに寄って上着を取って来ればよかった。 改札を出たと連絡するのとほぼ同時に、ばさりと被された硬い布に視覚を奪われ声を失いかける。それがよく知る匂いのコートでなければ、恐怖で動けなくな…

小説『BUTTER』と おじさんのメロさについて

男女問わず、メロい人がいないと物語はハッピーエンドあるいはそれが信じられるような後味のいい終わり方をしないなと思う。主人公がメロいこともあるし、そうでない人がメロいこともある。 『BUTTER』で言えば、篠井さんは確実にメロい。週刊誌の記者をして…

人生は晴れの日ばかり続かない

自分でも平凡だと思うけど 私の幸せは みんなが幸せであること 夫と息子 遠くに住む母 そして たったひとりの弟の 健康と幸せを願ってる ──『スモークブルーの雨のち晴れ』23話 お守りのように、ずっと抱えている言葉がある。 人に見せられるもの、見せられ…

3月9日

あの歌の名前が「3月9日」でよかった。忘れたくない、忘れるはずもないと思った記憶のほとんどは、いつのまにか手のひらからこぼれ落ちているらしい。いつかもう一度見つけるまで、失くしたことにも気付かない。 今日か。そう言って鼻歌と呼ぶには大きすぎる…

「あなたは捨てられたんじゃない。あなたが捨てるの」

あなたは知っていますか?渡り鳥がどうして迷わずに目的地にたどり着けるのか。たとえば鳥たちは、星座を道標にするのです。北極星を中心としたおおくま座、こぐま座、カシオペア座。星々をたよりにして、鳥たちは北を目指すのです。鳥たちはそれを、雛の頃…

火中の栗 家中の豆

食べることと、生きること。 その強い結びつきを綺麗にうたう言葉が昔から好きだった。 涙が枯れた朝でさえ やっぱりお腹は 空くのだから 私は また 人を好きになるのでしょう── チャットモンチー「愛捨てた」 実際、私は、この世の中でどれほど楽しみをみつ…

死ぬまで「芸能人だと赤西仁が好きです。元KAT-TUNの」と言わせてもらう

幼い頃に母親から言われたことで、忘れられない言葉がいくつかある。大事にしまっているものも、刺さって抜けないものも、呑んで血肉になったものも。 そのうちの一つが「アイドルはあなたを食べさせてくれないわよ」だった。 両親は長女の私には厳しかった…

『新版 中絶と避妊の政治学 戦後日本のリプロダクション政策』

1948年中絶合法化、1999年経口避妊薬ピル解禁。なぜ日本では避妊より中絶だったのか─── 2023年2月、日本における経口中絶薬承認を前に、ティアナ・ノーグレン著,岩本美砂子監訳『中絶と避妊の政治学 戦後日本のリプロダクション政策』(2008年)の新版が出…

『囀る鳥は羽ばたかない』みたいな漫画を探しても

やはり完結してない漫画に手を出すべきじゃない つらい、、 『囀る鳥は羽ばたかない』の話をしています— ささやか (@oyasumitte) 2024年10月16日 完結していない漫画を読むのがつらい。すべての作品について単行本派なので、供給待ちの期間が長すぎて餓え死…

落花流水

という四字熟語が好きです。らっかりゅうすい。花は落ち、水が流れる。先ず以って語感が綺麗。 落花流水。読んで字の如く、花が散り水に流れる、過ぎていく春の景色。転じて、物事の衰えゆくこと。時がむなしく過ぎ去ることのたとえ。それからもうひとつ、別…

女たらしとルンペルシュティルツヒェン

どんな関係性であっても、相手の名前を呼ぶ必然性がある場面って、意外と少ないと思うのよね。 私の場合はそもそも親しい人にも下の名前をそっくり呼ばれることが少ない方で、さらに呼び捨てで呼ばれる場合に限るともう本当に本当に少なくて。それを毎回、ね…

頑張って席をとったライブが無料配信されることになったらしい

頑張ってチケットをとっていたライブがYouTubeで無料配信されることがわかって悲しい、という投稿を見た。 それを受けて考えたことを書くけれど、最初に断っておきたいのは、その悲しいという気持ちは誰にも否定できないということ。もちろん私にも。もしか…

『未必のマクベス』について言えることはもう、ない

昨年、本屋で平積みされたある文庫本の「これほど素晴らしい小説はそうあるものではない」という帯が目にとまった。ただそれだけであらすじも読まずに購入したその小説が、早瀬耕『未必のマクベス (ハヤカワ文庫JA)』だった。 面白かった。 購入後しばらく読…

ちゃんとしていなくちゃ愛せない

27歳、アラサー。 プチ同窓会とでも言えばいいのか、普段から付き合いがあるわけではない人たちとの再会が増えた。誰かの結婚式で集まったり、実際に同窓会が開催されたりしている年頃なので、「○○と会ってさやかさんの話になって連絡してる。元気?」みたい…

ミーハーなりの好きな日本酒の探し方

日本酒が好きです。お酒には強くないし、好きなだけでべつに詳しくもない。ただ日本酒を飲むのは好き。 それだけの理由で、而今という日本酒の写真をXのアイコンに設定して2年ほど経ちました。ジコンと読みます。 #新しいプロフィール画像 pic.twitter.com/g…

令和の夢小説漫画 『推しにガチ恋しちゃったら』

繋がりという言葉にある特定の意味を見出して疼く心がある人。夢小説を読んだ十代の記憶がある人。 こんにちは、私もそうです。そうでした。 ガラケーで夢小説を読み漁り、己の中の需要に応えてくれる供給がなければ自ら書き、読んだり読まれたりする中で惹…

『一万回話しても、彼女には伝わらなかったこと』の感想で笑い合いたい

話したいことがたくさん残ってる 中華料理で何が好きとか 加藤千恵『真夜中の果物 』 これは私が一番好きな短歌。収録された短篇集『真夜中の果物』は、4ページほどのショートストーリーにそれぞれ短歌が添えられる構成で、この短歌が添えられた「酢豚」とい…

店員さんにタメ口なお客さんもお客にタメ口なプロも苦手

Xで話題になっていたことで知ってから何度も予約を試みた、資生堂のゴールデンバランスメイクアップレッスン。あまりの予約の取れなさにチャレンジすらも諦め、はや半年が経ちました。 そんなところに、都内の別のパーソナルメイクサロンの体験予約の広告が…

泣かないでと百回つぶやく

大丈夫。大丈夫よ。大したことないわ。 ちょっとよろめいただけで、どこも怪我していないじゃない。この世の終わりみたいな顔してどうしたの。大袈裟ね。優しく「大丈夫?痛かったね」なんて言ってほしかったのかしら。 不意にあらわれた扉に向けて、咄嗟に…

「愛っていうのは言葉でも気持ちでもなく、行動のことだと思う」

7月23日、Zepp ShinjukuでMOROHAのワンマン MOROHA V RELEASE LIVEを見た。 お湯落ちマスカラが全て落ちてすっぴん同然になるまで泣いた。彼らのライブを生で見るのは二度目。一度目も泣いていたから、二分の二、泣いたことになる。二度あることは三度あると…

好きな人がダサいと悲しい

ツイッター(以下、Xとする)の一部のアカウントを見ると心がざわつく。 私人間のトラブルを大事にして私刑を促していたり、ナンパした相手の盗撮写真を載せていたり、芸能人やインフルエンサーの見目麗しい画像を用いてインプレッション稼いでリプライに自…

「ご遠慮ください」が伝わらない2023

「う…そ……だろ…?これ、ネタじゃなくてガチで言ってる!???義務教育の敗北すぎておばちゃんはびっくりだよ」というつぶやきと共に、メッセージサービス「マシュマロ」に寄せられたメッセージの画像をTwitterに投稿した、うさもも 贅沢な女さん(@uuusamom…

自分を良く見せようとする人々よりもっと自分を良く見せようとしてしまう私たち

自己肯定感という言葉が広く流行って久しい。元々はカウンセリングや心理学の領域で提唱された概念で、定義はさまざま為されてきたが、現在の自分を概して肯定的に認める感覚のことであるというベースは共通していると言える。 しかし流行の波にのって自己肯…

Fake it till you make it. /その部屋のなかで最も賢い人

最近、『その部屋のなかで最も賢い人 洞察力を鍛えるための社会心理学(原題:The WISEST ONE in the ROOM)』という本を読んだ。 世界は、私が自分以外の誰かに対して「賢い!」と言いたくなることで満ちている。ここで「賢い!」と言われて嫌な人がいなけ…

「ひでんマシンばかり覚えさせられているポケモンの気持ちを一度だって考えたことありますか」

私が社会人になって丸四年が経った。この春入社してくる学部卒の新入社員は、もうほとんどが大学すら被っていない世代だ。 年が近ければ気持ちがわかるなんてことは残念ながらないけれど、二年前ならきっと思い出せた当時の不安が今の私にはもう見えない、そ…

『コンサルティング会社 完全サバイバルマニュアル』

こんにちは、さやかです。私はミーハーなので、みんなが買っているメン獄さん著『コンサルティング会社 完全サバイバルマニュアル』を読みましたし、みんながやっているようにこういう写真も撮りました。 今回は、これってアレじゃん…こんなんさァッッ 絶対…

あちら側にいたのは、自分だったかもしれない

もうそんなに若くないということ。 「かわいい」って大別すると愛か軽蔑じゃない?とインターネットで書き出したそばから、でもその両方なことも多いかあと思って何も書けなくなる、みたいなこと。失礼なおじさんに腹が立つとき、その向こう側に顔は見えない…

企画展「クリスチャン・ディオール 夢のクチュリエ」に予約なしで行ってみた

今回はタイトルのまま。昨年から行きたかった東京都現代美術館の企画展「クリスチャン・ディオール 夢のクチュリエ」に行ってきました。 行きたいなーとのんびり思っている間に、予約券は3月分まで完売。しかも聞くところによると、当日券は朝のうちに売り切…

いちばん哀しかった あの日さえもう かがやいている

「寂しい」と口に出せる人から幸せになっていくと最近誰かが言っていた。私は、被害者面をやめられた人から幸せになっていくと思っている。 ここでいう被害者面とは、過去の己の選択を「選ばされただけ」と後からひっくり返すようなこと。大人同士の合意の上…