どんな言葉で君を愛せば|@oyasumitte

ハッピー賢者モードと人生イヤイヤ期を行ったり来たり

笑う、と呟いた瞬間の真顔とか下着とか

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自分が嫌なやつだなと思った話をする。2022年最初のブログ投稿で。

音楽も映画も、読書以外のインドアな趣味はほとんどサブスクで楽しむようになって久しい。毎度課金はしない分、気になったものに手を出すハードルは以前より大分下がったはず。一方で、何かを見たり聞いたりした事実、好みだったかどうかに関わらずその履歴が、後の機械的なオススメの内容に影響してくる。それを考えると、好みでない作品、つまり外れを引いて履歴を濁らせたくないという変な感情が生まれてきてしまった。嫌なやつだなと思う。

私はそんなに何かを購読している方ではないけれど、とりあえずSpotifyのリコメンド機能はすごいと思ってきた。毎週更新される自分専用のおすすめプレイリストがとても澄んでいたのである。そのリストの中で特に惹かれたアーティストのページに飛んで一通り聞いてみると、結局Spotifyがプレイリストに入れてきた一曲が抜群に好きで。以前、よく聞く曲リストは下着みたいなものだという走り書き(本棚って下着かもしれない|さやか|note)をしたけれど、今もそう思っている。

当然ではあるが、Spotifyが自動で出してくるおすすめは、その、人に見せる用ではない好みに沿いすぎているのである。「笑う」とツイートした瞬間の真顔を横から覗き見られたような気恥ずかしさを伴う感動がある。取り繕っていない自分の好みが、ちょっと引くほどストレートに反映される場所だった。

それが、元恋人にアカウントを貸した瞬間に一瞬で濁る。本当に一瞬だった。彼の再生履歴を私の好みと誤認しているSpotifyのおすすめはほとんど私に刺さらなくなり、すっかり見なくなってしまった。良くも悪くも、履歴が提案に反映されすぎる。それが課金とは違うハードルになって、新鮮な驚きを求めることへの腰が重くなってきたのは、シンプルに自分のよくないところだなと思う。

悔しくて嬉しいのは、その濁りの中に、今となっては長崎まで追いかけていくほど大好きなバンドがいたこと。彼と別れた翌朝に何も考えず言った「アレクサ、音楽流して」に、アレクサがそのバンドの、私が結局一番好きになる歌を流してきたこと。おすすめの全部が自分に刺さるわけでも、全部が刺さらないわけでもなかったこと。陸からでも水底がよく見えるような澄んだ流れだけを眺めていたら出会えない魚がいるのを、私はもう知ってしまっていること。

何を言いたいかというと、自分の好みに基づいて勝手に目の前に現れてくる、見る前からちょっと好きなものばかりではなくて、誰かが面白いと言うものに素直に飛びついてみる気持ちを思い出したいな2022!という話です。勝手に目の前に現れてくるものを自分の好みでかためるために何かを躊躇するのをやめたい、という話でもあります。

映画でも本でも音楽でも、まずは好きな人たちの好きなものをもっと知りたい。それが自分にとって一番素直に飛びつくハードルの低いところだから。結果的に履歴とかそこに紐付くリストが自分の好みからブレても、そのブレ幅を楽しむ余裕を持ちたい。

 

ちなみに私は映画だと壮大な伏線回収ものが大好きなのですが、壮大な伏線回収ものの良さを伝えようとするときに人は壮大な伏線回収ものであることを言ってしまいがち問題、何とかなりませんか?すすめるときにもすすめられるときにも困っています。壮大な伏線回収ものであると知らずに壮大な伏線回収ものを見たい。わたしに壮大な伏線回収ものをおすすめくださるときは「とにかく面白いから黙って見ろ」と言ってください。注文が多くてごめんなさい。

かけてもらえる期待と見せてもらえる趣味に、より一層素直な気持ちで応える一年にします。今年もどうぞよろしくお願いいたします。

 

余談ですが、サムネイルに使った画像は、近畿大学図書館の診断コンテンツを利用した結果です。自分の過去のツイートからいつも思いもよらない本を出してきてくれて、なかなか面白いのでぜひ!

近畿大学 アカデミックシアター 診断コンテンツ