どんな言葉で君を愛せば|@oyasumitte

ハッピー賢者モードと人生イヤイヤ期を行ったり来たり

令和の夢小説漫画 『推しにガチ恋しちゃったら』

繋がりという言葉にある特定の意味を見出して疼く心がある人。夢小説を読んだ十代の記憶がある人。

こんにちは、私もそうです。そうでした。

ガラケーで夢小説を読み漁り、己の中の需要に応えてくれる供給がなければ自ら書き、読んだり読まれたりする中で惹かれあったインターネットのオタク同士、連絡先を交換して「身内」と呼び合いお互いの個人サイトにリンクを貼り合った中学生の頃。

ヴッ 頭が……!

 

私の生み出した黒歴史が、スイマガやモバスペたちと共に平成の海に眠ったのはどう考えても良いことだった。でも同じく中学生の私が胸を震わせた誰かの黒歴史も、そうしてふいに葬られてしまったことを思うと寂しい。そう考えると書籍って本当にありがたいわね

 

 

そんな、読んでも書いても黒歴史な夢小説。私が読んでいたそれの作者先生方も「身内」も、みんな大人になり離れたのに、なぜ今さら掘り起こしてこんな話をしているのか。当時飽きるほど見たあの夢小説ド定番設定の漫画を見つけてしまったからです。令和の今になって。

 

そう、その夢小説ド定番設定漫画がこちら、『推しにガチ恋しちゃったら

推しにガチ恋しちゃったら 1 (マーガレットコミックスDIGITAL)

昨日2024年2月22日に電子書籍で最新作3巻が発売され、紙版コミックスは1巻発売中・2巻が来月発売予約受付中。

 


身も蓋もないけれど、まず主人公の担当・優衣人の顔が良い。ここでは絵柄が好きという意味です。


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平成を生きたおたくたちに伝わるように担当と書きましたが、もうこれだけでかなり恥ずかしい。今どきのおたくは担当とか言わないのよね。「推し」なの。あと“赤西🕶️さやか💄”みたいな痛い名前を名乗ったり“身内”を作ったりも多分しないの。

「ガチ恋」は言ってましたっけ?我々の時代は“リア恋”や“本気愛”じゃなかった?


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課金して引き当てた担当との30秒オンライントーク、その翌週におたく友達に呼ばれて行ったパーティーでこの遭遇シーンが起こるの、おたくの妄想すぎる。ここでは大変素敵という意味です

 

先のシーン、主人公の桃が堪えきれず「ゔっ」と泣きだしているのだけど、夢小説遍歴有りおたくは別の意味で泣きたい気持ちになるのではないでしょうか。

だって親の顔より見た話。なぜか何万人もいるオタクの中で認知されていて、ひょんなことから「繋がり」、うっかり仲良くなったり手を出されたりする物語。蘇る十代の我々の痛み。イタさ。ヴッ

 

そんな一話のタイトルはなんと「限界おたくと繋がり女」です。むごい……

 

 

そんな『推しにガチ恋しちゃったら』、作者の春江ひかるさんがXで試し読みを公開されています。試し読みポストのリンク先はコミックシーモアの購入ページですが、Kindleでも2/23現在1巻が66円になっているのでお好きな方でぜひ。

kindle版 推しにガチ恋しちゃったら 1 (マーガレットコミックスDIGITAL)

 

さて、先日発売された『推しにガチ恋しちゃったら』紙版コミック1巻。帯のコメントは「闇深泥沼アイドルラブ」だそうです。

ちらりと沼加減をご紹介、という名目で私の好きなシーンを3つ……


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「大丈夫?他の男の写真あったらおれ怒るけど」

(1巻 2話 六本木トワイライト)


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「それ分かっててまだここにいて 警戒心 足んないんじゃないすか お嬢さん」

(1巻 2話 六本木トワイライト)


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「で おれらは今から何すんの?」

(2巻 5話 無い記憶)

 

……という感じで、アイドルの職を抜きにしても普通にドのつく沼男。いるよねこういう沼。非おたくの人々もウワーってなりながら読めると思います

 

1巻、作り込まれてる感があまりなくて、本当に夢小説みたいな感触だなと思っていたら、どうやら当初読み切り用に描かれ始めた作品が連載になったとか。それが来月から連載誌も格上げお引越しとのことで、乗っかるなら今です。

 

気に入ってる異性の前で好きなタイプを聞かれて「おれのこと好きになんない子。おれみたいなクズにひっかかんない賢い子が好き」とか言っちゃうタイプのダメ男に思うところがある人は読んでください。夢小説を通ったおたくも読んでください。

差し支えなければ、読んだ限界おたくは、実写化されるなら優衣人は誰がいいかを教えてください。私はKAT-TUNでデビューした頃のアイドル赤西仁で見たかった

 

 

私にとっては高校受験の日の朝、ジンアカニシの結婚報道が出て、試験回答後の余り時間に虚無の顔をしていたあの春からもう12年。自担、あえていう、自担が、結婚して父になり離婚してまた独身になる間に、わたしは中学と高校と大学を卒業して、彼が結婚した年齢に追いつきました

 

ね、あの頃私たちには随分大人に見えたKAT-TUNって、本当はとても若かったね。まだ二十歳だったのね。『推しにガチ恋』の優衣人以上に遊びたい盛りの時期にアイドルでいてくれてありがとう。今も表舞台にいてくれて、本当にありがとう

 

……何の話?

 

 

『一万回話しても、彼女には伝わらなかったこと』の感想で笑い合いたい

話したいことがたくさん残ってる 中華料理で何が好きとか

加藤千恵『真夜中の果物 』

これは私が一番好きな短歌。収録された短篇集『真夜中の果物』は、4ページほどのショートストーリーにそれぞれ短歌が添えられる構成で、この短歌が添えられた「酢豚」というお話も大好き。

真夜中の果物 (幻冬舎文庫)

 

さて先月、その作者の新刊が出た。

わたしは好きなピアニストの海外公演を見に行く足で書店に立ち寄り、機内で読むつもりで購入。結局待ちきれずに空港で読み出してしまったのだけれど、序盤からどうにも様子がおかしい。今作もやはり表紙は可愛いのに、何かがおかしい。

一万回話しても、彼女には伝わらなかったこと (ポプラ文庫 482)

いや、そうはならんやろ、と内心で3回エセ関西弁が出たところで読むのを止めた。スーツケースに仕舞い込み、そのまま年を越してしまっていた。

 

 

だって、現実の共感と存在しない記憶の再生による共感とで胸が震えてしまうのが、加藤千恵の作品だった。

「どれだけ一緒にいても、わかりあえない。でも近づきたくて、もどかしい。一筋縄ではいかない女同士の人間関係に悩めるあなたの心を鮮やかに解き放つ、共感度MAXの8篇!」

(『一万回話しても、彼女には伝わらなかったこと』裏表紙より)

先述のお気に入り短篇集とは出版元など異なるとはいえ、今作も確かに紹介文には「共感度MAX」と書かれていた。それなのにどうしてこんなにも理解に苦しむ展開ばかり

 

 

どう考えてもおかしい。短篇ゆえのさっぱり感はあるものの、共感を抱くより先に唖然とする。遅れて嫌悪感がくる。そうはならんやろは、いやいや普通その○○は○○ないでしょう、と言い換えてもいい。そのまま書くとあまりにもネタバレが過ぎるので伏せてみた。

読後感が悪いタイプのそれではないけれど、それでも「共感度MAX」というフレーズはわたしがこの本を一万回読んでもきっと出てこない。

驚愕を増幅させる装置だったのかしら。とすれば納得がいく。あるいは私の感覚が、この小説とその売り文句のターゲットから大きくズレているのか。後者か。きっと後者ね

 

 

そう。お察しのとおり私は、好きだった作者の新作を好きになれなくて悲しいというポエムを書こうとした。最後まで読まずに適当なことを書くわけにもいくまいと念の為読み通してみたら、やはり断じて「共感度MAX」ではないながらも、小説として面白かったのだ。そしてこれを書くに至っている

 

結果として今作で私が一番好きだった人物は「切れなかったもの」の姉だった。

「前にもこういうことがあったの?」(略)「あるわけないでしょう」大笑いした姉は、あまりに普通だった。どうして普通にできるのかが、私にはわからなかった。ずっとわたしの理解を超えていた姉は、そんなときですら、自分とは別の生き物だった。

「切れなかったもの」『一万回話しても、彼女には伝わらなかったこと

展開を知ってからここに戻って読むとゾッとする。人間は怖い。もう何を言ってもネタバレになる気がする。

 

 

とにかく異質な人々を散々目の当たりにしたあと、でも結局こういうのが今の私には一番わからないのかも、と思ったのは「皺のついたスカート」の主人公だった。

母はきっと、バカじゃないの、と言うだろう。(略)けれどわたしは伝えない。こんなに簡単に和解してしまっては、十代の自分に悪い気がするし、母にしたって、たやすくこちらを受け入れはしないだろう。またしばらく会わない日々が始まる。

「皺のついたスカート」『一万回話しても、彼女には伝わらなかったこと』

 

離れて暮らす母から、LINEでアルバムを作る方法を尋ねられたときのくすぐったさ。そういう電話に、たぶん必要以上にその連絡が迷惑でないことを表そうとしてしまっていること、だから何か本当に困ったとき気後れして抱え込まないでほしいこと。一方で誰かの結婚や出産に触れるたび、自分の中で勝手に生み出している鈍い痛みとか、ささやかすぎる罪滅ぼしのように家の事を手伝いに時々帰ることとか。でも本当は罪滅ぼしになればいいと思う暇もないくらい、結局いつも私が一番幸せになってしまっている我儘とか。

大体こんな事柄が今の私を構成していて、だから主人公の意地が耐え難くもどかしいのだ。

「けれど私は伝えない」と、だってあのとき私は傷ついたからと、恥ずかしいからと、次に会えたら話せばいいと、そうして意地を張っているうちに永遠の別れはあっさり訪れる。その後で、あのとき母親に伝えてしまって「バカじゃないの」と笑われたかったと思っても遅いのに

 

 

そういえば、私の大好きな過去作『真夜中の果物 』には「話さなかったこと」という話が収まっていた。添えられた短歌は「わかりあうことはできない 同じものを 見たり食べたり 聞いたりしても」

短歌がなんとなく今作のタイトルとリンクしたのか、ふと思い出し読み返してみたその話は、「いろいろ聞いてみたいことはあった」のに聞かない主人公と、「話すことはいくらでもありそうだった」のに話さなかった女友達とのワンシーン。

数年前読んだときとは随分違う印象を受けた。

わかりあえないことがわかっていて互いに触れないのと、話してわかりあえないことを確認しあうのと、もしも比べるならどちらがより寂しいことでしょう

 

 

また長くなってしまった。今作の中で数少ない、私が「共感度MAX」の売り文句に納得感をおぼえたところを紹介して終わりたい。

一口飲んだお茶が、ゆっくりと身体の中に落ちていくのを感じる。

今どこにいるかわからない原ちゃんにも、こんなふうにお茶を飲める時間がありますように、とわたしは願った。それがこの店だったなら嬉しいけど、そうじゃなくてもいい。

「お茶の時間」『一万回話しても、彼女には伝わらなかったこと』

 

 

今さらだけれど「共感度MAX」なんてフレーズに釣られ、端から泣くつもりで構えて読み始めていなければ、投げ出したまま年を越してしまうこともなかったかもしれない。素直に小説として楽しめばよかったじゃない。先入観って良くないわね。

そうはならんやろな行動を起こす主人公たちは、私にとってはずっと、そうはならんやろな人々な気がしてしまうけれど、いつか読み返して理解できる日が来るのかな。それとも一万回読んでも、私には理解できないことかしら。

 

他の人の感想が気になる本ランキング2024、暫定1位です。もし読んだらぜひ感想を聞かせてください

 

最後までお付き合いありがとうございます。おやすみなさい。さやかでした。

店員さんにタメ口なお客さんもお客にタメ口なプロも苦手

Xで話題になっていたことで知ってから何度も予約を試みた、資生堂のゴールデンバランスメイクアップレッスン。あまりの予約の取れなさにチャレンジすらも諦め、はや半年が経ちました。

そんなところに、都内の別のパーソナルメイクサロンの体験予約の広告が流れてきたのです。短時間とはいえ資生堂のレッスンと比べるとかなり安く、予約枠も豊富だったので軽い気持ちで予約をとり、今月実際に行ってきました。

結論だけ言うと、パーソナルメイクレッスン体験は行って良かったです。払ったお金以上のものが得られたと感じています。それなのになぜサロンについてこれだけ曖昧に書くのか、もうタイトルでバレている気もしますが……

 

自分が損をしているのはわかっている話をします。

言うをゆうと書く人の言うことを、悪い意味で話半分に聞いてしまいます。重複のジュウフク読みが国語的に正しくなっても、目の前で言われると「そちらで読む人か」と思っています。中の人の人格が前に出ている企業や飲食店の公式アカウントを、その商品・サービスごと避けがちです。店員さんに横柄な態度をとるお客さんと同じくらい、顧客に敬語をつかわないサービス提供者が苦手です。

 

そう。今回行ったサロン、私の担当としてついてくださった方が敬語を使われない方だったのです。

年齢は私から伝えていませんし担当さんの年齢も伺いませんでしたが、会話の内容から察するに一回り上の男性。まだ若者面をしている私に対して、敬語をつかわずに親しみを感じさせやすい話し方を選ばれることは、客観的に不自然ではないと思います。そのサロンはサブスク型で、契約すると隔週で継続的に一対一で見ていただくことになるので、友達のような近しい距離の方が通う契約をしやすいお客さんも多いのでしょう。教えてくださる先生と生徒の私という関係性を考えても自然です。そのスタイリストさんの接客は正しい。

そして最初にも書きましたが、施していただいたメイクや教えていただいた内容には本当に満足しています。顔立ちも自分でしていったメイクも恥ずかしくなるほど褒めていただいて、直した方がいいところを不快に思わせずに指摘する技術にも感動しました。行ってよかったと言い切れます。

それなのにどうにも居心地が悪く、当然その理由は伏せて本契約はお断りし、お断りしたことでさらなる居心地の悪さを自ら生みながら、トライアル料金のみ支払って帰りました。

 

振り返ると、数年間毎月会っている美容師さんやネイリストさん、好きで通っている飲食店の方は何度会っても敬語を外さずにいてくれるし、私も自然にずっと敬語をつかっていて。話す内容はほとんど友達と変わらなかったり、友達よりも頻繁に会う相手であったりするわけですが、それでも友達ではないその距離感を保ってくれる人のことが私は好きなんだと気づきました。

メイクレッスン体験を終えたその夜、良い状態の顔で会った初対面の年上の男性に「ていうか全然タメ口でいいよ」と笑って言われたとき、これも苦手だなと思いました。そこでは私は顧客ではないので敬語を使われないことに何の不満も覚えませんが、こちらの敬語はゆるしてほしい。多分損な性格をしているのはわかっています。それでも引いておきたいのかなあ、一線を