どんな言葉で君を愛せば|oyasumitte

ハッピー賢者モードと人生イヤイヤ期を行ったり来たり

2025-01-01から1年間の記事一覧

『自己愛過剰社会』 特別だという愛と呪い

以下、劇場版呪術廻戦渋谷事変特別編集版のネタバレがあります 「禪院じゃねぇのか よかったな」 『呪術廻戦』13巻、第113話。降霊術で再臨した父・伏黒甚爾が、子・伏黒恵をそうと知らず襲う最中、正気に戻ると同時に相手が息子であると悟り、自決する。そ…

愛はお金か、お金が愛か

おたくである私のXのタイムラインには時折、他のおたくの「コンサートツアー全通したとか、公式グッズをこれだけ買ったとか、そういうかけたお金だけが愛みたいな感覚は苦手」とか、「課金額で愛を測られる今の風潮はよくない」とかいった鳴き声が紛れ込んで…

もう一度aftersunを初めて観たい

“ ソフィ 愛してるよ 忘れないで パパより” 大好きな映画 aftersun(2022)の、Prime Videoでの見放題期間が明日終わってしまう。 身近なところでも入籍ラッシュだった令和七年の七夕はもう過ぎてしまったけれど、もし短冊に願いごとを書く機会があったなら、…

微熱

珍しく駅で待ち合わせた日に限って寒い。多少遅れても一度ホテルに寄って上着を取って来ればよかった。 改札を出たと連絡するのとほぼ同時に、ばさりと被された硬い布に視覚を奪われ声を失いかける。それがよく知る匂いのコートでなければ、恐怖で動けなくな…

小説『BUTTER』と おじさんのメロさについて

男女問わず、メロい人がいないと物語はハッピーエンドあるいはそれが信じられるような後味のいい終わり方をしないなと思う。主人公がメロいこともあるし、そうでない人がメロいこともある。 『BUTTER』で言えば、篠井さんは確実にメロい。週刊誌の記者をして…

人生は晴れの日ばかり続かない

自分でも平凡だと思うけど 私の幸せは みんなが幸せであること 夫と息子 遠くに住む母 そして たったひとりの弟の 健康と幸せを願ってる ──『スモークブルーの雨のち晴れ』23話 お守りのように、ずっと抱えている言葉がある。 人に見せられるもの、見せられ…

3月9日

あの歌の名前が「3月9日」でよかった。忘れたくない、忘れるはずもないと思った記憶のほとんどは、いつのまにか手のひらからこぼれ落ちているらしい。いつかもう一度見つけるまで、失くしたことにも気付かない。 今日か。そう言って鼻歌と呼ぶには大きすぎる…

「あなたは捨てられたんじゃない。あなたが捨てるの」

あなたは知っていますか?渡り鳥がどうして迷わずに目的地にたどり着けるのか。たとえば鳥たちは、星座を道標にするのです。北極星を中心としたおおくま座、こぐま座、カシオペア座。星々をたよりにして、鳥たちは北を目指すのです。鳥たちはそれを、雛の頃…

火中の栗 家中の豆

食べることと、生きること。 その強い結びつきを綺麗にうたう言葉が昔から好きだった。 涙が枯れた朝でさえ やっぱりお腹は 空くのだから 私は また 人を好きになるのでしょう── チャットモンチー「愛捨てた」 実際、私は、この世の中でどれほど楽しみをみつ…

死ぬまで「芸能人だと赤西仁が好きです。元KAT-TUNの」と言わせてもらう

幼い頃に母親から言われたことで、忘れられない言葉がいくつかある。大事にしまっているものも、刺さって抜けないものも、呑んで血肉になったものも。 そのうちの一つが「アイドルはあなたを食べさせてくれないわよ」だった。 両親は長女の私には厳しかった…

『新版 中絶と避妊の政治学 戦後日本のリプロダクション政策』

1948年中絶合法化、1999年経口避妊薬ピル解禁。なぜ日本では避妊より中絶だったのか─── 2023年2月、日本における経口中絶薬承認を前に、ティアナ・ノーグレン著,岩本美砂子監訳『中絶と避妊の政治学 戦後日本のリプロダクション政策』(2008年)の新版が出…