
“ ソフィ 愛してるよ 忘れないで パパより”
大好きな映画 aftersun(2022)の、Prime Videoでの見放題期間が明日終わってしまう。
身近なところでも入籍ラッシュだった令和七年の七夕はもう過ぎてしまったけれど、もし短冊に願いごとを書く機会があったなら、この映画に関する記憶をすべて失ってもう一度見たいと書いていたと思う。
初見をやり直したい。何とかなりませんか
まだ見ていない人が本当に羨ましい。ぜひこれ以上何も余計な情報を入れずに本編にあたられたい。
ただ気分が落ち込んでいる人はちょっと様子を見てからでもいいかもしれない。
あと予告編を見ずに映画を見られない宗派に属されている場合、日本語の予告編はナレーションの調子が映画の質感と大きく異なるので、A24が公開している冒頭9分そのままの動画か、オリジナルのトレーラーが良い気がする。
わたしは本当に、全てを忘れた真っ新な状態でもう一度見たい。暗い夜の海にひやひやしたり、穏やかすぎて不穏なBGMにハラハラさせられたりしたい。
二度目に見たとき、最初から写っていたものに気づいて崩れ落ちた。何度も繰り返し見た今となってはもう最初のアイラブユーで泣いてしまう。見ればわかるが序盤も序盤だ。何ならもう全然関係ない状況でただQueen/David BowieのUnder Pressureを聴くだけで、こみ上げてくるものがある。
親の心子知らずとよく言われる。
本作のコピーは「あのとき、あなたの心を知ることができたなら」。劇中で11歳のソフィが言う。
あのときは言葉を知らなかった
そう まだ小さかったし 7歳くらいだった
あまりにも可愛い。まだ十分に小さいが、それでも確かに7歳よりは大きく、大人ぶって振り返るのが幼気で堪らない。
そしてこれは、ずっとそうなのかしら。もう大人になったわたしが、独身のわたしが、歳を重ねてあの頃の親の愛情をわかったような顔しているのも、人生のもっと先から見れば滑稽なのかもしれないと思うとおそろしい。
子を持って知る親の恩?
「何でも話していいんだよ 大きくなって いろんなパーティーや 男の子やドラッグのこと」「パパ 私はやらないよ」「それでもいいんだ でも覚えておいて」
— ささやか (@oyasumitte) 2025年2月2日
いつか向けられた愛情の大きさと、返せるもののささやかさを思う。
親の心子知らず、子を持って知る親の恩……とは言えど、未だ子無しの女としては、子も永遠に親の心知らずというわけでもないと思いたい。
行き着く先は誰にもわからない
生きたい場所で生きろ
なりたい人間になれ

映画aftersun/アフターサン、Prime Videoでの公開は明日7月9日まで。
ポスターのとおり夏にぴったりの気持ち良い映画───という勧め方は決してできないけれど、わたしの中では夏に見たい映画だし、大きくて深い愛の話です

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