こんばんは。さやかです。
前回の記事がなぜかSmartNewsに拾われたようで,バビュンとPVが伸びておりました。
画像は2019/02/25 19:00に弊ブログのアクセスログを撮ったものです。
これがスマニュー砲……!
アクセス元も普段はTwitterが70%以上を占めているので,わりと「さやか」を知っている人に読まれているという安心感があるのですが,私のことをほとんど知らない方が見てくださったのだと思うと結構ドキドキしますね。
何を期待してページを開いてくれた人に,どういう風に受け取られたのかが気になります。
そしてあまり時間をかけずに勢いで書いた「情報ソース︰俺」な記事(しかも内容がゲス)が一番数字を稼いできたということが,嬉しいような悲しいような,ちょっと複雑な気分です。
実際,ブログに関しては数字が伸びることより,あなたが紹介してた本を読んでみたよとか,共感できたという感想をいただけることの方が嬉しかったりします。
それから最近,嬉しいときは嬉しい気持ちをちゃんと表そうと改めて思うことがありました。
それが褒めてくれた人への礼儀ですよね。
私ももう大人だし,褒められると恥ずかしくなってふざけちゃうのいい加減やめたい。さっきのツイートも本当は「その意外性が君の魅力だと思う」とまで言ってもらったのに返しでネタに走ってしまった。ブログを「あんな文章書けてすごい」と褒められて「暇人なので…」とか言ってしまうのもやめようね私
— さやか (@oyasumitte) 2019年2月13日
褒めてくれた相手を褒められた自分以上に喜ばせて終われるのが大人の女なのでは?と思っている
— さやか (@oyasumitte) 2019年2月13日
褒められ上手になりたい。がんばります。
さてせっかく数字が伸びているところだし,今回も同じような話題にしようかなと一応戦略的に考えてはみたのですが。
セクハラ関連の問題は完全に自分切り売り身バレ誘発コンテンツだし,続けて書きたい話題でもないなと思ったので,やっぱり全然関係ない話をします。
内容は以下の通りです。
よろしくお願いします。
- NewsPicksの有料会員になりました、が。
- まるでスマホで電話しかしないおばあちゃん
- なぜ田舎の風景が懐かしいのか
NewsPicksの有料会員になりました、が。
WEEKLY OCHIAIという番組をご存知ですか。
NewsPicksというニュースアプリのオリジナル動画で,¥1,500/月を払って有料会員になると見ることができます。
私はもともと薄っすら落合陽一さんに興味があったのですが,具体的にこの番組に興味を持ったのは,2018年末にバズったWEEKLY OCHIAIの「日本社会をアップデートせよ!」を外野がイジったサバの記事を人に勧められて読んだことがきっかけでした。
読んでみて,WEEKLY OCHIAIの内容を理解できない人が文脈に沿って理解している人たちのことまで「お前たちもわかっていないだろう」と笑い種にしていることに苛立ちを感じたし,一方でNewsPicksもWEEKLY OCHIAIもよく知らなかった自分が大学の講義や読書で得た知識を使えば落合さんたちの話に食らいついていけるという楽しさを強く感じたのです。
コンテクストが共有されている人たちの間では成立する(本を買ってきた,NewsPicksの有料会員であればわかるようなもの)を切り出してバカにする風潮というのは,見ている人からすればもとのコンテンツに当たろうとすればコストも高いし,そもそもこの記事を読む人はファクトチェックができないし,ネタにしたいんだから読む気もないんでしょう.(この記事自体は僕も笑いましたが,そういうことが盛んな社会が好きかと言われれば好きじゃないです)
とりあえずサバ記事のもとのコンテンツにあたる必要があると感じて年始に無料体験を始め,1週間WEEKLY OCHIAIのバックナンバーを視聴。
面白くてすっかりハマってしまい,実家で延々とスマホから落合ボイスを流している私を,母は新興宗教にハマってしまった娘を見るかのように眉間のシワを深くしながら見つめてきました。
しかし1週間では到底すべてを見ることは出来ず,見られなかった回の内容は気になるし,動画は毎週更新され続けているしで,もうとにかく気になって仕方ない。
会社でインターンの仕事をしていても大学で卒論発表の準備をしていても,もうWEEKLY OCHIAIのことが気になって仕方ない。
もうアップデートすることしか考えられない。
完全に恋です。
でも大学生である私が恋しちゃった勢いだけで払うには,ちょっと高いのが月1,500円。
そこでネットで有料会員の意見を探ってみようと思ったとき,まず目についたのは「NewsPicksの有料会員を辞めた」人々の口コミでした。
これも昨年流行った,大手企業をやめた人が会社を悪く言う感じのアレ。
続けている人よりも,やめた人ほどやめたことを正当化したいかのように色々と書くから目立つのだよなあと思い,バイト先の大人たちに聞いてみました。
一人だけ有料会員の方がいらして,たしか「プロピッカーのコメントが云々」みたいな理由で登録を勧めてくださり,実際のところ私はもう誰かに背中を押してもらいたかっただけなので即登録しました。
まるでスマホで電話しかしないおばあちゃん
NewsPicksの会員特典は,WEEKLY OCHIAIだけではありません。
・人気特集読み放題
・オリジナル動画見放題
・WSJ読み放題
でも私は登録して2週間経った今の時点で,まともに見ているのはWEEKLY OCHIAIだけです。
会員特典どころか特典ではない記事も実はまだほとんど読んでいないし,正直オーバースペックなところはあります。
WEEKLY OCHIAIが単体で1本300~400円だったらたぶん私はそっちにするんだろうなという気もします。
ただ一つ仮説があって,先にお金をかけてしまえばたぶん私は経済の勉強をするだろうなと。
何かを勉強したいと思うとき,普通は本を選んで買う手間とコストを払った上で,さらに他の誘惑に勝って勉強する意志力を持つ必要があります。
でも先に学ばないと損な環境をつくってしまえばもったいない精神が働いて勉強を始めるハードルが下がるし,一度やり始めてしまえば興味を持って疑問を解決しながら深めていくサイクルが回りだします。
もちろんネットの記事を読んだだけで勉強した気になってしまうのは良くなくて,論文や学術書にあたる必要もあると思っています。
ところで歯のホワイトニングでは,デュアルホワイトニングという,オフィスホワイトニング(即効性はあるけれど短命)とホームホワイトニング(即効性は低いけれど長持ち)を同時にすすめる方法が効率的とされています。
勉強も似たところがあると思っていて,たとえば経済だったらアダム・スミスのような古典派に学ぶことも重要ですが,如何せん古典なので,その勉強が現在の自分に活きる感じは得にくいと思います。
でもじっくり古典にあたって本質的な理解を得ることは,後々勉強をすすめると効いてくるはずですし,これはつまりホワイトニング治療で言うところのホームホワイトニングのようです。
で,NewsPicksなどから最新技術の知識やタイムリーな情報を得ることは,いま自分が生きている世界を知っていくことになるので,勉強が役に立つ実感を得やすい。
一方で,歩みの速い現代では情報が陳腐化するスピードも尋常ではありません。
即効性があるけれど持続性はない知識のインプット,これはオフィスホワイトニングっぽさがあります。
なぜホワイトニングに例えようと思ったのか自分でもよくわかりませんが,つまり私は勉強も「学びが自分を助くという実感」と「本質的な文脈理解」とを両輪で回していくのが一番良いのかなあと思っていて。
前者のためのツールとして最適だと思ったのが,WEEKLY OCHIAIをコンテンツとして持つNewsPicksというアプリだったのです。
様子を見ていずれNewsPicksアカデミアにも参加したいなと思っていますが,それはさすがに¥5,000/月に見合うだけのコミットができるのかどうかを見定めてからにしようと思います。
なぜ田舎の風景が懐かしいのか
2019/2/20 人類をアップデートせよ!
そんなわけで私はこの番組のファンなので,先週の回で触れられていたチームラボのランタンアートに端を発する話題について思ったことを書きます。
文脈上にあるものを文脈から切り取らずに理解できるようになりたいと言った舌が渇く前に,文脈から切り取ってきた話をしてしまうのですけれども,文脈をすべて追うとたぶんブログ10本以上書けてしまうので許してください。
このランタンの作品を見た多くの人が,なぜだか懐かしいような気がしたり,心がほっと落ち着くような気分になったりするそう。
でも実際には,大量のランタンを見るのはこれが初めてだという人が多いはずなのです。
見たこともないものを懐かしく思うって,不思議ですよね。
それなのに人は「たくさんの灯を見て自分が懐かしいと思うのはなぜか」ということはあまり考えません。
「たくさんの灯を懐かしく思うのは,天空の城ラピュタを見たから?」
「たくさんの灯は懐かしいものだとメディアに刷り込まれたから?」
落合さんはそういうことを考えながら見ていたけれど,その場で同じものを見ていた多くの人はおそらく,自分がどうしてどんな感情を抱くのかということを言語化しようとはしていなくて,なぜ懐かしく思うのかについては興味がない。
落合さんと宮台さん的には,自分の意識の外にあったことに対して疑問を持つきっかけを投げかけてくれているという意味で,チームラボのランタンはアートであると言えるのだそう。
そのアートを見て「ランタンっていいよね~懐かしいよね~」で終わってしまうのはもったいないのです。
さて,なぜ見たことも行ったこともない田舎の風景が懐かしいのかという話に戻りますが,観光地理学的には落合さんの発言がそのまま当てはまります。
私達が合掌造りが立ち並ぶ白川郷の風景や,水田と山と川しかない風景を見て懐かしく思うのは「それは懐かしいものである」という意識が刷り込まれているからだといいます。
「これが古き良き日本」だと思い込まされて,それによって見たことも行ったこともない一面に水田が広がる風景を見て「これぞ日本」だと安心する。
原風景を,学習によって獲得するのです。
げんふうけい【原風景】
① 原体験から生ずる様々なイメージのうち、風景の形をとっているもの。 「僕の-」
② 変化する以前の懐しい風景。 「日本の-」げんたいけん【原体験】
記憶の底にいつまでも残り、その人が何らかの形でこだわり続けることになる幼少期の体験。
ー 三省堂 大辞林 第3版
初めてランタンを見た私達がそれを懐かしく思うとすれば,それはラピュタを見たことや「君をのせて」を聴いたことが原体験になって,たくさんの灯(ランタン)を原風景として獲得したから。
他にも「日本の原風景はこうである」と思い込まされた田舎を見て私達は「(よくわからないけれど)懐かしい」と感じる。
この,よくわからないということに気づき,わからないなりに考えてみることが,クズにならないための大切な営みなのだそうです。
一般的に,日本人にとって旅行は前もって描いたイメージを消費しに行くものになっています。
例として,観光地・白川郷に関して旅行者が抱くイメージに着目した研究を引用します。
白川郷における日本人ツーリストの来訪前のイメージを整理した.まず最も多く聞かれたのは白川郷に対する「冬のイメージ・雪の白川郷」である.山村あるいは山深い場所の豪雪地域という観光者のイメージは,屋根に雪を載せた合掌造りの宣伝写真や「雑誌・パンフレットイメージ」に起因する.(中略)また白川郷は,「昔の日本の風景」が残る「純農村」であり,そこには「のどかな雰囲気」が広がっているという観光者のノスタルジックな農村に対するまなざしがある.(中略)観光者の白川郷イメージと現実との間には多くの相違点があることがわかる.まず代表的なものとして,「思ったよりも観光地化していた」,「もっと田舎だと思っていた」,「もっと農村の景観を見たかった」というように,静かな山村とは異なる様子に違和感を抱く点が挙げられる。牧歌的な農山村とのイメージのギャップは否定的な印象にもつながっており,「人と店,観光客が多い」あるいは「人が多い」あるいは「外国人が多い・多すぎる」といった予想以上に観光地化していることに対する懸念もみられる.
ー 市川 康夫, 羽田 司, 松井 圭介「日本人・外国人ツーリストの観光特性とイメージにみる白川郷の世界遺産観光」,人文地理学研究36,22頁。
一般的に日本人の旅行は,そこにあるものを自分で見て確かめようという意図ではなく,自分がそこにあると期待したものが期待したのと同じ状態であること,描いたイメージ通りの観光空間を消費することを意図して行われます。
空間に前もって抱いていたイメージと実際の空間が異なっていたとき,それは足を運んだからこそ発見できた喜びなどではなく,違和感や落胆に繋がってしまいます。
観光地に行って「思ったのと違ってモヤっとした」という感想だけで終わる人。
なぜモヤっとしたのか,それは私たちが教育やメディアの影響を受けて茅葺屋根と水田で構成される農村の景色を「日本の原風景」として獲得し,その懐かしき農村を尊いものとする意識も獲得し,その上で白川郷に関して宣伝によって純農村のイメージを抱き,現地でそのイメージを消費しようとしたら現実が異なっていたためにイメージの消費ができなかったからだ,と言語化できる人。
世の中の9割の人は前者で,この9割が今週のWEEKLY OCHIAIで言うところのクズでした。
私はクズではなく後者でありたいと思うし,そのためにこのさやかというネット人格とかNewsPicksユーザーという立場を使っていきたいなと思います。
長文にお付き合いいただきありがとうございました。
おやすみなさい。さやかでした。
【2019/02/25 21:00 追記】
タイトルでは文字数の関係で省略しましたが,たくさんの灯(ランタン)を懐かしく思う原体験は,ラピュタを見たことのほかにも,地元のお祭りの記憶なども考えられそうです。